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コラム2023/01/30
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不動産取引で電子化した「重要事項説明書」を用いた電子契約を行うためのチェックポイント

不動産取引で電子化した「重要事項説明書」を用いた電子契約を行うためのチェックポイント

こんにちは。「レリーズ」編集部です。

2022年5月に行われた宅建業法の改正では、不動産取引における重要事項説明書の電子化が認められました。それにより、従来は不可能だった重説のオンライン完結も可能になっています。

本稿では、不動産取引において重要事項説明書を電子化するメリットや、不動産取引実務に取り入れるための必要ステップを解説します。


2022年5月の宅建業法改正で重要事項説明書の電子化がスタート

不動産取引における重要事項説明書の電子化について理解するための前提知識として、電子化された重要事項説明書が不動産業界で解禁された背景を解説します。

デジタル改革関連法とは?

そもそも不動産領域で電子契約が完全解禁された背景には、2021年9月のデジタル改革関連法があります(※1)。

この法令の要点は、民間手続きにおける「書面化義務の緩和による電子書類の解禁」「押印義務の廃止」にあり、それに関わるさまざまな法律も改正されました。そのなかには、宅建業法や借地借家法なども含まれます。

重要事項説明書の電子化解禁によって電子契約も本格スタート

不動産売買領域においては、改正前の宅建業法により、重要事項説明書などは書面での交付が義務付けられていました。(※2)

オンラインでの重説対応である「IT重説」自体は、重説書類の電子化より以前に解禁されはしていたのですが、書面交付義務が弊害となり普及しにくい状況でした。しかし、前述した宅建業法の改正で、重説書類を電子化できるようになったことで、IT重説もより実施しやすい環境が整っています。

さらに、不動産取引において従来は紙で行っていた契約手続きを電子データで用いる「電子契約」も、不動産売買を含めたあらゆる領域で完全解禁されています。

それを踏まえれば、今回の重説書類の電子化と合わせて、IT重説は今後業界のスタンダードになっていくかもしれません。

なお、改正後の宅建業法については、下記記事で解説していますので、こちらもご参照ください。

関連記事:宅建業法改正のポイント|電子契約の解禁で不動産取引はどう変わる?



不動産取引の業務フローに電子化した重要事項説明書を取り入れるメリット

不動産取引の実務プロセスで電子化した重要事項説明書を活用するメリットとしては、「不動産取引のスマート化」「相手方とスケジュールを合わせやすい」といった事柄が代表的です。

不動産取引のスマート化

元来、相手方と対面して、重説用の書類を渡す作業は準備に手間がかかる作業でした。相手方からすると、重説のためにわざわざ不動産会社に足を運んだり、逆に家に担当者を招いたりしなくてはならない点もネックです。

重要事項説明書類をデジタルに置き換え、データで交付すれば、あとは相手方に送付するだけです。そのため、郵送のやり取りや事前の書類確認といった煩雑な作業からも解放されます。

相手方とスケジュールを合わせやすい

従来の重説では、相手方とスケジュールを合わせた対面での実施が必須でした。デジタル化した重要事項説明書を用いても、重説のために「会う」という手間自体はほとんど変わりませんが、相手方の都合次第ではオンラインという手段も柔軟に採れるようになります。

場合によっては、オンライン実施も可能な点は、不動産会社だけでなく、エンドユーザー視点でみても大いに助かる点なのではないでしょうか。


国土交通省の「重要事項説明実施マニュアル」について

国土交通省は、不動産会社が問題なく電子化した重要事項説明書を運用するためのマニュアルを作成・公開しています。

正式名称が「重要事項説明書等の電磁的方法による提供及びITを活用した重要事項説明実施マニュアル」である同マニュアルは、国土交通省が法改正後にデジタル化される不動産取引と、それに対応した業務フローに基づいて関連法とその注意点をまとめた、いわゆる“ルールブック”的なものです。

このマニュアルでは、国土交通省のWEBサイトで公開されており、誰でもダウンロード可能です(※3)。


国土交通省のマニュアルを遵守しつつ重要事項説明書を電子化するためのステップ

以下より、前述の国土交通省のマニュアルを参考にしつつ、実際に重要事項説明書の電子化を取り入れる前に必要な手続きを解説します。

Step1.相手方からの承諾の取得

電子で重要事項説明書を使用する場合、重説や関連書類の提供に電磁的方法を用いることについて、相手方の承諾を得るのが大前提です。

重要事項説明実施マニュアルでは、承諾を得るための方法として、以下4つがあげられています。

  1. 承諾する旨を記載した書面(紙)の受領
  2. 承諾する旨を電子メールなどで受信
  3.  Web ページ上で、重要事項説明書等の電子書面を提供する方法および重要事項説明書などの電子書面のファイルへの記録の方式を提示した上で、Webページで承諾する旨を取得する
  4. 承諾の旨を記録したCD-ROMやUSB メモリなどの受領


この時点で相手方が電子化した書類の使用を認めない場合には、同様の方法で拒否する旨を記載した書面などを受領しておかなければなりません。

Step2.電子化した重要事項説明書提供の要件確認

次に相手方に電子化した重要事項説明書を提供するフェーズですが、提供する電子書面は、以下の要件を満たす必要があります。

  • 相手方が出力することで紙の書面化できる
  • 電子書面が改変されていないかどうかを確認できる措置を講じている


これらの要件を満たしたうえで、相手方等に関連書類を電子メールなどの電磁的方法で提供します。

なお、説明の相手方に対しては「提供した旨の通知」も求められます。その方法については、重要事項説明実施マニュアルで整理されており、以下のとおりです。

電子化した重要事項説明書などの提供方法



なお、35条書面および37条書面については、重要事項説明書などの電磁的方法による提供を行う宅建士を記名で明示しなければなりません。

Step3.電子書面の真正性の確認方法の説明

国土交通省のマニュアルによれば、電子化した重要事項説明書の真正性は相手方にも証明しなければならないとされています。その際に相手方に説明する事柄としては、以下のとおりです。

  • 提供する重要事項説明書などが、改変されていないことを「どのような方法」で確認できるのか
  • 上記の確認方法が、提供時点から将来のある時点において改変されてを確認するために必要な手段であること


この確認方法の説明を対面/非対面のどちらで行うのかについては、特に規定されていません。そのため、自社であらかじめ検討しておき、ワークフローに取り込んでおくのがベターでしょう。
導入する電子契約サービスが不動産業界特化型のものなら、この説明方法に関するテンプレートが用意されているケースもあります。

電子化した重要事項説明書の提供は場合によっては中止しなければならない

国土交通省のマニュアルでは、電子化された重要事項説明書の運用方法に加え、契約に用いる際に「提供を中止しなければならないケース」についても明示されています。それぞれ、以下のとおりです。

  • 相手方の電磁的方法による提供に関して意向が変わり、改めて拒否する旨の申し出があった場合
  • 電子書面が閲覧できないなどトラブルが生じ、その解消が見込めない場合


上記のような場合では、紙の書類に切り替えて手続きを進める必要があります。この点も想定して、あらかじめ社内規定やワークフローに盛り込んでおきましょう。

なお、デジタルデバイスを使って行う「IT重説」については、下記の記事でも解説していますので、あわせてご参照ください。

関連記事:IT重説とは?不動産取引で導入するメリットを解説


不動産売買に特化した電子契約システム「レリーズ電子契約」 


レリーズ電子契約」は、日本で初めて不動産売買に用いられた電子契約の実績を持つ、業界特化型の不動産テック・電子契約サービスです。

国土交通省より公表された重要事項説明書運用マニュアルにも対応したシステム設計を行っているため、汎用型の電子契約のように、自社でいちから業務フローや運用マニュアルを策定せずに済みます。

不動産業務に最適化された操作設計や管理画面、お客様用のマイページ機能など、不動産取引実務へのスムーズな導入が可能。支店・チーム単位での契約管理もできるため、大幅な業務効率化につなげられます。

関連記事:不動産テックとは?活用するメリットや代表的なサービスについて徹底解説!
関連記事:不動産売買の電子契約化で何が変わる?電子化できる書類やメリットを紹介


まとめ

重要事項説明書の電子化したうえでの不動産取引は、最近解禁されたばかりなので、本格的に導入できていないという不動産会社も多いのではないでしょうか。

しかし、本稿でも解説したとおり、重要事項説明書を電子化した上で、不動産取引に電子契約を導入すれば、よりスムーズに手続きを進められます。むしろ、黎明期の今だからこそ、自社で重要事項説明書の電子化を推進する意義は大きいといえます。


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<参考>(※URL最終閲覧2022年11月30日)
※1 厚生労働省「デジタル改革関連法の全体像」https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000782802.pdf

※2 国土交通省「不動産取引時の書面が電子書面で提供できるようになります。~宅地建物取引業法施行規則の一部改正等を行いました~」https://www.mlit.go.jp/report/press/tochifudousankensetsugyo16_hh_000001_00036.html

※3 国土交通省「ITを活用した重要事項説明及び書面の電子化について」https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/soseiconsttk3_000092.html

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