COLUMNお役立ち情報

コラム2023/03/12
Twitterシェアボタン
Facebookシェアボタン

不動産テックによって解決される課題とは?導入のポイントについても解説

不動産テックによって解決される課題とは?導入のポイントについても解説

こんにちは。「レリーズ」編集部です。

労働生産性の向上や多様化するエンドユーザーのニーズに対応するため、不動産テック導入を検討する不動産会社は、ここ数年でますます増加していることでしょう。

しかし「IT化が遅れている」との声が業界内外から聞かれるように、不動産業界へのITテクノロジー導入にはハードルがあると感じられるのが事実です。そこで今回は「何が不動産テック導入の課題になるのか」について解説します。

自社でのテックサービス導入にお悩みの方は、ぜひお役立てください。


不動産テックとは

不動産テックは、不動産にテクノロジーを掛け合わせた用語で、海外では「Re Tech(リーテック)」「Proptech(プロップテック)」などとも呼ばれます。

近年は、AIやビッグデ ータ、IoT関連の技術進歩が続いており、不動産会社の業務効率化やエンドユーザーの利便性向上に寄与するサービスが多く開発されています。

特に、ここ数年は海外企業や新興ベンチャーを中心にしたサービス開発が活性化しており、宅建業法改正にみられるように、政府主導で不動産業界のデジタル活用の促進も図られています。

そんな不動産テックは領域ごとに細分化されており、不動産テック協会によってカオスマップの作成・更新が行われています(※1)。

不動産会社の課題を解決する不動産テック「カオスマップ」

引用:一般社団法人不動産テック協会


不動産テックが必要とされている背景

このように多様なサービスが存在する不動産テックは、今まさに業界での普及が求められています。その理由を挙げると、以下のものが代表的です。

・依然として低い労働生産性
・情報の非対称性と不透明性
・エンドユーザーのニーズの変化

以下より、それぞれ個別に解説します。

依然として低い労働生産性 

少子高齢化に陥っている日本ではさまざまな業界・業種で「労働力不足」が顕著になっていますが、不動産業界などは特にマンパワーの不足に悩まされているのではないでしょうか。

業界で慢性的な人手不足が発生している要因として、代表的なものは「長時間労働」「業務負担の大きさ」「担い手」など。不動産業界では、いまだにエンドユーザーや物件データの管理、契約手続きなどで“紙の書類”を用いており、その業務は多忙を極めます。

稼働状況は読めず、突発的に時間を取られるケースも珍しくありません。そういった問題は労働力不足につながるだけでなく、エンドユーザーの満足度の低下にもつながるでしょう。

こういった背景もあり、不動産テックの導入による従来型の商習慣からの脱却が求められているのです。

情報の非対称性と不透明性

長年にわたって、不動産業界で議論されている問題事項として「情報の非対称性と不透明性」が挙げられます。これは市場で取引される商品・サービスについて、売り手もしくは買い手のどちらかが情報を多く持っている状態を指しますが、不動産業界の場合はどうしても大手の仲介業者に情報が偏ってしまいがちです。

「売却を考えている不動産オーナー」「購入を考えている買い手希望者」にとって、売買取引が不利に働くケースが多いといわれているのです。元来、日本の不動産取引においてエンドユーザーは取引履歴等の情報を得られず、事業者頼みとなるため、市場に対してネガティブな印象を抱くことも少なくなかったはず。

そういった印象を払拭するためにも、IOTを活用したデータベースの作成による、情報の検索性・透明性の向上が必要なのです。これは、不動産会社単位ではなく、業界をあげて取り組むべき課題でしょう。

エンドユーザーのニーズの変化 

デジタルツールの発展や感染症対策などの影響から、エンドユーザーのニーズは変化しつつあり、オンライン志向へのシフトも見られます。特に、コロナ禍では感染症対策やリモートワークの普及もあり、非対面やデジタルベースでの見学・契約締結を行いたいというニーズも増しました。

今後は内見から契約手続きまで、非接触で完結したいと考えるエンドユーザーはますます増えることでしょう。そういったニーズに応え、競争優位性を確立する上でも、不動産テックの導入は重要な取り組みです。


 

不動産テック導入を阻む課題とは? 

ここまで解説したとおり、導入の重要性が高まっている不動産テックですが、実際に活用していくうえでは次のような課題が発生するでしょう。


・デジタルシフトへの対応
・統合データベースの不在
・デジタル技術に対応できる人材の不足

ここからは、それぞれについて解説していきます。

デジタルシフトへの対応

不動産業界のデジタル化にかかる課題として、まず挙げられるのが「業界全体のデジタル化の遅れ」でしょう。

そもそも不動産業界では2022年に宅建業法が改正されるまでは、不動産契約の際の口頭・書面での重要事項説明をはじめ、デジタル化に対する法的な規制が為されていました(※2)。そのため、不動産テックを本格的に活用するという発想自体、なかなか持てずにいる企業も少なくないと思われます。

ただし、不動産業界のテック系サービス活用の遅れは規制によるものだけではなく、現場の実態による部分もあるのも実情です。例えば「内見を行う際には際には、管理会社と電話での確認、鍵を授受するための往来を行う」といったアナログ業務から、伝統的な不動産会社ほど抜け出せないでいることでしょう。

もちろん、不動産テック系サービスの活用状況は各社各様ですが、業界を平準化してみた場合に「紙の書類の契約やFAX、郵送などのアナログ文化から脱却できていない」という印象は強いはずです。

統合データベースの不在

情報の非透明性について前述しましたが、統合データベースのオープン化が為されていない点も、不動産テックの広がりを妨げている要因です。

例えば、アメリカには「MLS」と呼ばれる物件・取引情報に関する事業者間のネットワークシステムがあり、事業者には情報の登録義務と罰則が定められています。MLSは米司法省の指示により公開され、APIを通じたデータ連携・情報の取得や応用が可能になったことから、アメリカの不動産テック領域の広まりに寄与しています。

日本でも、同様のものとして「レインズ」がありますが、利用できるのは会員の不動産事業者のみです。さらに、不動産ビジネスは「情報が武器になる」という側面もあることから、取引を有利にするための“登録しない”というインセンティブが働く局面もあります。

そのため、広範囲に正確かつ公平な情報を共有できるシステムを確立できておらず、データを活用したテック系サービスの発展を阻害しているのです。

デジタル技術に対応できる人材の不足

あらゆる領域で不動産テックサービスが増えていますが、それぞれの領域は独立しており「包括的な機能を持ったシステム」「ツール間の連携」が難しいため、個々にサービスを導入・運用するしかないのが現状です。サービスそのものの分母も多いので、自社でのテックサービスの運用体制構築が課題となるケースは多々あるでしょう。

そもそも、デジタルテクノロジーの導入は部門他院位で完結するものではなく、全社的な取り組みが必要。DXを推進する取り組みは、戦略コンサルファームのマッキンゼー・アンド・カンパニー社が提唱する7Sモデのフレームワークで理解できます。

 

 不動産テックで課題を解決するために必要なマッキンゼーの7Sモデル


7Sでは、全社的な変革に求める諸要素を組織構造・戦略を指す上部の「ハードS」と、それを支える「ソフトS」に分けた概念。これらは独立するものではなく、変革の成功には、ハードSとソフトSが両立しなければなりません。

不動産会社がつまずくのはまさにこのポイントで、ツール選びといったハードSはクリアできても、自社でのナレッジ(知識)の蓄積や、運用体制の構築といったソフトSが障壁になるのです。


不動産テック導入の成功ポイント 

以上のとおり、ただツールを導入するだけではこれらの課題解決にはつながりません。ツールやシステムのようなハードSだけでなく、ソフトSも両立させるためには、全社的にサービス導入の目的に関して目線合わせをして、体制構築と人材育成に努める必要があります。

さらに、不動産テック導入の担当者は、社内のステークホルダーからの合意形成を行いつつ、自身でも情報収集を行なってナレッジを蓄積していくことも求められるでしょう。

企業規模の大小に関わらず、いきなり大きな変革を実施しようとすると、必ず反発も起きてしまうものです。それを踏まえると、まずは自社の課題を明確化しつつ、ツールの導入領域を絞り込んだうえで、少しづつ活用を進める「小さなスタート」を切ることこそ、不動産テック採用の成功ポイントといえます。


まとめ

不動産テックには、業界内に根付いたアナログ的な慣習から脱却し、新たな価値創出につなげるうえで有用なツール・システムが揃っています。一方で、日本の不動産業界にテックサービスの文化が根付くまでには、まだまだクリアしなければならない課題も多いのが実情です。

性急に大きな変革を成し遂げようとしても、必ずどこかでつまづいてしまうものでもあるため、まずは各社各様の課題を明確化し、少しづつデジタルテクノロジーの活用を進める。そういった「まずは始めてみる」という意識こそ、求められているのではないでしょうか。

当社は不動産売買特化型のDXXプラットフォーム「レリーズ・シリーズ」を提供しています。

レリーズは不動産取引実務の効率化やコストカットが可能なサービス群です。DX推進による顧客体験価値や満足度の向上を図りたいとお考えの方は、お気軽にお問い合わせください。

「レリーズ・シリーズ」のお問い合わせはこちら 

<参考>(※URL最終閲覧2023年1月31日)
※1 不動産テック協会 https://retechjapan.org/retech-map/

※2 国土交通省「ITを活用した重要事項説明及び書面の電子化について」https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/soseiconsttk3_000092.html

  • 電子契約をまずは安く使い始めて最大限の成果を求めたい方
  • セキュリティを守りながら使いやすい製品を探している方

低価格はもちろん様々な現場ニーズに合わせたカスタマイズ機能も提供可能です。
まずは詳細はお問い合わせください。