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コラム2023/07/31
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不動産会社でDX人材は育成すべき?必要な理由や育成方法を紹介

不動産会社でDX人材は育成すべき?必要な理由や育成方法を紹介

こんにちは。「レリーズ」編集部です。

不動産業界はかねてより「DXによる生産性向上」の必要性が説かれています。しかし、電子契約システムをはじめとするデジタルツールは“ただ導入しただけ”では、業務フローのアップデートには繋がりません。

システムの導入当初は提供企業側のサポートを受けるにしても、長期目線でみれば各不動産会社でデジタル人材を育成することは不可欠といえるでしょう。

そこで今回は、実際に電子契約オンライン本人確認サービスといった不動産テックサービスを提供する当社の知見も交え、不動産会社がデジタル人材を育成するための必要知識について解説します。


不動産DXとは

DXとは「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」の略です。ビジネスシーンでは「業務のデジタルシフトによる効率化」というニュアンス。

経済産業省のレポートを参照すると、デジタル化実現のために必要な3段階の取り組みのうちの1つとされています。

引用:経済産業省「DXレポート2 中間とりまとめ(概要)

そのため不動産DXは「テクノロジーを使って、不動産業界内における商習慣を変革すること」といえるでしょう。

しばしば「不動産DX =ツ ールを使って効率化する取り組み」であると誤解されるケースがあります。

それは正しい見方ではなく、既存業務の効率化をはじめとして、「その先にある顧客体験価値を向上させること」なのではないでしょうか。

業界内の不動産DXへの取り組み状況とは?

DXは、一部門に留まらず、全社的な変革が伴う取り組みです。例えば「営業部門で顧客管理ツールを導入した」といった規模では、十分だとはいえません。

2023年現在、不動産DXを積極的に行おうとしている不動産会社は多く存在します。不動産テック企業7社と不動産テック協会が共同で実施した調査によると、2021年から2022年にかけてDXにポジティブな味方をしている不動産会社は1.5倍に増加したと判明しています。

引用:PR Times「2022年、不動産DX『推進すべきだと思う』が98.4% 「DXの効果を実感」は70.7%、最も導入を検討されているのは『電子契約システム』

DXの目的については、トップが「業務効率化・生産性向上 = 93.4%」で、次いで「顧客満足度アップ = 53.4%]「集客力アップ = 35.1%」が並びます。

これについては、DXに取り組むほとんどの不動産会社が同様なのではないでしょうか。

多くの不動産会社が「DX人材の確保」でつまづいている

一方で、多くの不動産会社はDX推進に課題を感じているとも判明しており、そのなかの1つに「人材確保の難しさ」が挙げられています。

前述の調査で「DXを推進するうえで苦労していること(苦労したこと)」を質問したところ「DX推進人材を確保できない」と答えた企業が40.2%だったとのこと。


引用:PR Times「2022年、不動産DX『推進すべきだと思う』が98.4% 「DXの効果を実感」は70.7%、最も導入を検討されているのは『電子契約システム』

さらに「DXに取り組む予定がない」と回答した企業にその理由を確認した質問では、22.5%の企業が「社内に人材がいない」からと答えていました。

引用:PR Times「2022年、不動産DX『推進すべきだと思う』が98.4% 「DXの効果を実感」は70.7%、最も導入を検討されているのは『電子契約システム』

そもそも不動産業界はアナログな商習慣が根付いていることが大きな課題。DXの機運が高まり始めた今現在でも、デジタルテクノロジーに長けた人材確保が課題となるのは、ある種仕方がないという側面があるかもしれません。

つまり、今まさに「これからDX人材も育成していく段階」の業界であるといえるのです。


不動産会社がDX人材を育成するメリット 

不動産会社がDX人材を育成するメリットとしては、次のようなものが挙げられます。

  • 自社の事業特性にマッチしたDX施策を打ちやすくなる
  • 社内コンセンサスを取得しやすくなる
  • スピーディにDXツールを運用できる


以下より、それぞれについて解説します。

自社の事業特性にマッチしたDX施策を打ちやすくなる

社内で育成されたDX人材は「企業風土」「事業・プロジェクトの性質」「トレンドのシステムやDX技術」について精通します。

そのため、事業やプロジェクト単位で最適のシステムやサービスを選定し、取り入れられるのです。

社内に優秀なDX人材を抱えれば「既存業務の効率化」「新たなサービス・事業体制の創出」の両軸により、既存顧客やエンドユーザーに対して、さらに高い付加価値を提供できます。

その結果として、生産力・競争力の強い企業に成長していくことも可能でしょう。

社内コンセンサスを取得しやすくなる

DXはまさに「変革」と呼ばれるくらいですので、単独部門で主導するのではなく、社内の各部門の意見を汲み取りつつ推進していく必要があります。

その際、社内にDX人材がいれば、取り組みを推進するための社内コンセンサスを取得しやすくなるでしょう。

外部専門家にその都度外注するケースと比較して、社内にDX人材を抱える利点はそこにもあります。

さらには、自社の事業・業務内容を深く理解しているため、組織変換や事業転換などの大きな変化にも迅速に対応できます。

スピーディにDXツールを運用できる

ツールの運用外部の専門家を依頼する場合は、どうしても「依頼する人ごとに技術力の差が大きい」「対応に時間がかかる」などが懸念点として発生します。

一方で、社内でDX人材を育成していれば、デジタルツールをフレキシブルに運用しつつ、トラブル発生時にもスピーディーに対応できるでしょう。


不動産DXで人材育成を行う際のポイント   

ここからは、不動産会社がDX人材を育成する際のポイントを解説します。具体的には、以下のようなものが考えられます。

  • 全社員が「専門家」になる必要はない
  • リスキングに取り組む
  • DX人材の「新規採用」も検討する


次項より、個別にみていきましょう。

全社員が「専門家」になる必要はない

不動産DXの推進では、それぞれ異なる専門スキルを持った複数の人材が協力しながら事業企画・開発を実施。新たな価値の創出に向けて最適なテクノロジーやソリューションを取捨選択しながら、プロジェクトを遂行していくことになります。

NECが公開している「デジタル時代のDX人材育成」の資料を参考すると、DX人材育成において考慮すべき育成対象者の層について、「①:全社員」「②:DX遂行人材」「③:DX専門人材」の3つに分けられています。

引用:NEC「デジタル時代のDX人材育成

上記の内、「①:全社員」はDXがもたらす価値について正しく理解した上で、変化を不必要に恐れないよう、デジタル技術の基礎知識(AI、IoT、クラウドなど)を獲得していく必要があります。

「②:DX遂行人材」は「本質的に解決するべきビジネス課題」を定義した上で、課題解決に向けて必要なテクノロジーを選択し、DX計画を企画・推進していくというマインドセットが必要。

最も上位に位置する「③:DX専門人材」は、DX遂行人材が企画したデジタルビジネスを実現していくことが役割。

その上では、デジタル技術を運用していくためのITスキルやデータサイエンス、AI、サイバーセキュリティなどの専門知識が必要とされています。

リスキングに取り組む 

リスキリングとは、DXに対応できるよう「デジタル技術を学び直すこと」です。デジタル技術の導入によって不動産ビジネスが大きく変わると、労働者に求められるスキル要件も変化します。

つまり、不動産会社のDX関連業務を担う人材を社外で確保するだけでなく、社内の人材が新たにデジタル技術を学び直し、DXに対応できるように準備しなければならないということです。

DXは、企業の価値創造のプロセスを根本から変化させる可能性があります。したがって、営業やマーケターなども含め、すべての人材が知識をアップデートしていく必要があるのです。

DX人材の「新規採用」も検討する

不動産DXにおいては、何も既存社員だけでデジタルシフトを達成させる必要はありません。「新規採用」も、自社の事業体制をアップデートする上では十分に選択肢として挙がるでしょう。

最低限、必要とされるのは、DXや組織の全体像を描く経営責任者や、プロジェクトマネージャー、ビジネスデザイナーに当たる存在。前述したNECの3階層のうち「③:DX専門人材」は外部専門家にスポットで依頼するという選択肢もあります。

とはいえ、社外から招き入れたDX人材に、本領を発揮してもらうためには、不動産業界ならではの慣習に対して理解してもらう必要があります。

そのため、自社の規模感に関わらず既存社員と壁ができてしまわないように、社内での密なコミュニケーションをとっていく必要がある点には留意しましょう。


不動産業界におけるDX人材の育成例

ここからは、不動産業界におけるDX人材の育成例について「三井不動産」「東急不動産グループ」の取り組み例を紹介します。

全社員を対象としたDX研修を実施する「三井不動産」 

業界内で積極的なDXに向けた取り組みを行っている三井不動産株式会社は、DX推進をさらに加速するべく、全社員を対象としたDX研修「DxU(ディー・バイ・ユー)」を新設しました。

同社は、以下のように重点研修ポイントを6つに整理し、デジタル知識だけでなく、多面的なスキルアップを図りつつ各社員のスキルレベルに応じたロードマップを用意しています。


引用:三井不動産株式会社「DX白書2022

2025年度末までに約100名がステップ4を修了、DX実践スキルを習得し、DX推進をリードする人材へ育成することを目指しているとのことです。

ZDNETで2022年5月に公開された記事を参照すると、他方で学習コンテンツの作成は試行錯誤が続いているとわかります。

同記事内でインタビューを受けた三井不動産 人事部人材開発グループ長の南谷誠氏は以下のように述べています。

「現場研修をはじめ人材育成はOJT(On-the-Job Training)を重要視している。なぜならデベロッパーが創り出すものは、一つとして同じものがないため。時代が変われば求められる街のあり方も変わるため、マニュアルというものがない」

引用:ZDNET「DX推進の“自分事化”を目指す--三井不動産、全社員対象のDX研修『DxU』

このように、不動産業界のDXを牽引している三井不動産も、常に取り組み内容をアップデートし続けているのです。

DX機能を持った会社を設立した「東急不動産グループ」 

東急不動産ホールディングス株式会社は、同社グループの DX による価値創造を加速するため、DX機能を持った「TFHD digital 株式会社(以下:TDI 社)」を設立しています。

引用:TFHD digital

TDI社設立の背景にはデジタル技術が急速に発達するなかで、より加速度的にDXへの取り組みを行っていくためには、グループ全体にDX機能の内製化を図りつ、DX人材の重点的な獲得・育成が重要になったからとされています。

TDI社は、東急不動産グループ各社や外部パートナーとの共創体制を整備しつつも、各社員が存分に能力を発揮し、活躍・成長できる環境構築を目指しています。

このように、DX機能を持った会社の設立まで行った東急不動産グループの取り組みは非常に印象的といえるのではないでしょうか。


まとめ

以上のとおり、不動産DXは業界内にさまざまな恩恵をもたらすものの、不動産会社各社に根付かせるためには「DX人材の確保」による推進体制の構築が不可欠といえます。

もちろん、人材の獲得・育成は莫大な時間とコストがかかる取り組みではあるものの、社会情勢や顧客ニーズが日々変化する現代においては、必要なことであるといえるのではないでしょうか。

当社は不動産売買特化型のDXXプラットフォーム「レリーズ・シリーズ」を提供しています。

レリーズは不動産取引実務の効率化やコストカットが可能なサービス群です。DX推進による顧客体験価値や満足度の向上を図りたいとお考えの方は、お気軽にお問い合わせください。

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