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コラム2023/01/27
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不動産取引に電子契約を導入する際に踏まえておくべき法律について解説

不動産取引に電子契約を導入する際に踏まえておくべき法律について解説

こんにちは。「レリーズ」編集部です。

2022年5月に宅建業法の改正がされたことにより、不動産業界でも電子契約が本格的に解禁されました。しかしながら、実際に自社で電子契約を採用するにあたっては、どういった法律に留意するべきなのか整理したうえで、理解する必要があります。

本稿では、不動産会社が電子契約を導入する際に関係してくる法律について、網羅的に紹介します。自社での導入も見据えた情報収集を行っている方は、ぜひ参考にしてください。


不動産業界の電子契約に関わる法律  

不動産会社で電子契約を運用する際、メインで関わってくる法令としては以下のとおりです。

  • デジタル改革関連法
  • 電子帳簿保存法
  • 宅建業法
  • 電子署名及び認証業務に関する法律(電子署名法)
  • IT書面一括法
  • e-文書法


次項より、各法律について概説します。

デジタル改革関連法

デジタル改革関連法は、20222年5月に成立した法律で、地方自治体を含む行政システムの統一を図り、官民のデジタル化を推進する目的で策定されました。

デジタル改革関連法は全6法で構成されており、それぞれ以下のとおりです。

  • デジタル社会形成基本法
  • デジタル庁設置法
  • デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律
  • 公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施のための預貯金口座の登録等に関する法律
  • 預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律
  • 地方公共団体情報システムの標準化に関する法律


デジタル改革関連法の目的は、上記法令により国民や民間企業の利便性を向上させるのが目的であり、施行にともなって不動産業界でも電子契約が完全解禁されました。

デジタル改革関連法では、目的達成のために「マイナンバーカードの普及促進」「マイナンバーと個人の預貯金口座の紐付け」なども進められています。押印・書面の廃止も、その政策の一環です。

電子帳簿保存法

電子帳簿保存法は、元を辿れば1998年に制定された法律であり、デジタルデバイスやテクノロジーの進歩の度に改正されてきました。同法律の第10条では、電子契約で用いることができる書類についての細かい規定・要件が定められています。

電子帳簿保存法の制定時に電子化が認められていたのは「税務書類」「契約書」「請求書」「見積もり書」などですが、デジタル改革関連法の施行により不動産取引関係の書類も電子化が可能になりました。

本ブログの「電子帳簿保存法とは?2024年1月からの電子保存義務化に対応するための必要知識でも解説したように、電子帳簿保存法では、電子書類の管理方法について細かく規定されていますので、あらかじめ留意しておきましょう。

宅建業法

デジタル改革関連法では、宅建業法にも改正が加えられました。それにあわせて、国土交通省は不動産会社が電子契約を運用するにあたって必要なマニュアルを作成・公開しています。

正式には「重要事項説明書等の電磁的方法による提供及びITを活用した重要事項説明実施マニュアル」と呼ばれるマニュアルは、不動産会社で電子契約に業務フローを構築する際には必須ともいえる内容ですので、参照しましょう。

関連記事:宅建業法改正のポイント|電子契約の解禁で不動産取引はどう変わる?

電子署名及び認証業務に関する法律(電子署名法)  

電子署名法は、電子契約書の本人性を担保するために用いられる電子署名について規定された法律です。電子契約で不動産契約を行う際にも、各種電子書類に法的効力を付与するために電子署名が必須の処理といえます。

同法第3条では、電子署名の法的な有用性が認められていますので、不動産会社が自社で採用する電子契約サービスを契約する際には、電子署名を用いているシステムを選定すれば問題ないでしょう。

IT書面一括法

IT書面一括法では、相手方が電子契約に承諾したことを前提条件として、紙の書面の代わりに電磁的な情報通信技術方法を用いて、契約書類を交付する手続きが認められています

IT書面一括法は、正式には「書面の交付等に関する情報通信の技術の利用のための関係法律の整備に関する法律」といいます。電子帳簿保存法と似た法律ですが、IT書面一括法が「交付」を認めているのに対し、あちらは「保存方法」を規定した法律と捉えれば理解しやすいでしょう。

e-文書法

e-文書法は、各法令で保存が義務付けられている文書を“電子データのまま”管理することを認めるものであり、正確には以下の2つの法律の総称です。


この法律の内容を端的に表すと「さまざまな法令に対して電子データでの書類保存を認める内容」です。まとめてe-文書法と呼ばれるケースが大半ですので、自社内でもその概要を把握しておきましょう。

印紙代カットの根拠となる印紙税法 

電子契約を導入し、紙の書類を電子化すれば、従来は不動産会社にとって大きなコストとなっていた印紙代も削減できます。これは印紙税法で課税対象になる文書に電子のものは含まれていないためです。

国税庁発表の「印紙税の手引き」をみれば、「日常の経済取引に伴って作成する契約書や金銭の受取書(領収書)などに課税される税金」ともあるように、印紙代カットは法的な根拠に裏打ちされています。

不動産取引で電子契約を導入した場合の印紙代削減のメリットについては、以下の記事でも解説しています。

関連記事:不動産取引で電子契約を導入すれば印紙税が不要になるって本当?


電子契約を運用する際に考慮するべき法律  

電子契約の相手方が一般のお客様である場合、万が一にもトラブルに発展した場合を想定して、「民法」「民事訴訟法」も考慮しておきましょう

民法

民法は契約関連の取り決めもなされており、第522条第1項では以下のように規定されています。

“契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示に対して相手方が承諾をしたときに成立する”
“契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない”

上記に「特別の定めがある場合を除き」とあるように、法令によって書面が求められている場合は、書面作成が必須であるということです。

さらに、保証契約についていえば、民法第446条第2項では「保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない」としている一方で、第446条第3項では「電磁的記録によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する」ともあります。

相手方のお客様へ法的な説明が必要になった際には、この点を引き合いに出し「書面だけでなく電子契約でも契約は有効」と述べられるでしょう。

民事訴訟法

契約の有効性の成立については民法のとおりですが、実際に裁判が起きた場合、証拠として認められるかどうかは別問題です。その際には、民事訴訟法も参照することになります。

電子契約関係で紛争が生じた場合、証拠を用いた有効性の証明が求められます。それは、第228条第1項に「文書は、その成立が真正であることを証明しなければならない」と規定されているとおりです。

電子契約で用いる電子書面については、第231条「図面、写真、録音テープ、ビデオテープその他の情報を表すために作成された物件で文書でないものについて準用する」とあり“文書に準ずるもの”として扱えます。

そのため、ただの電子メールであっても(その内容の信憑性が高ければ)証拠として認められますので、紛争が予想される場合には事前に関連文書を用意しておくと安心です。


各種法律に特化した不動産業界特化型の電子契約「レリーズ電子契約」 

各種法律に特化した不動産業界特化型の電子契約「レリーズ電子契約」

不動産売買での運用を前提として作られた、特化型の電子契約サービス「レリーズ電子契約」は、各種法令に即したシステム設計はもちろん、国土交通省のマニュアルにも対応しています。

さらに、サポートには不動産業界の経験者も入っているため、安心して不動産取引に導入可能です。

国土交通省のマニュアルにも完全対応

レリーズ電子契約は前述の国土交通省より公表された運用マニュアルにも対応しているため、汎用型のサービスと比較して不動産取引への導入をスムーズに進められます。自社で電子契約関連の法律を遵守したワークフローや運用マニュアルを策定することなく、電子契約の導入を実現可能です。

レリーズ電子契約で契約手続きを進める場合、国土交通省のマニュアルで規定されている要件を満たさなければ次のフェーズに進めない仕様になっています。そのため、「法令に違反してしまった」という事態を避けることが可能です。

レリーズ電子契約で作成した電子契約書の法的拘束力

レリーズ電子契約は大手金融機関にも選ばれるクラウドサインとAPI連携しています。契約締結時の処理は、基本的にグレーゾーン解消制度による適法性が確認されているクラウドサインの仕様に準じています。

グレーゾーン解消制度とは、現行で規制の適用範囲が不明瞭なケースでも、事業者が安心して事業を進められるよう、あらかじめ規制適用の有無を確認できる制度です。


まとめ

不動産取引で電子契約を導入するなら、デジタル改革関連法で改正された各種法令以外にも、あらかじめ踏まえておくべき法令は多々存在します。こういった電子契約運用にかかる法令を遵守しなければ、自社の信頼の失墜に繋がりかねないため、細心の注意を払う必要があるといえます。

一方で、不動産取引実務を大幅に効率化できる電子契約は、こういったハードルを超えても導入するメリットがあります。そのため、国土交通省が公開しているマニュアルも参考にしつつ、電子契約の適切な運用を検討してはいかがでしょうか。


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